関が原

いままで緊張したことはあまりない、という自負がある。
思い起こすかぎり、緊張していたのは、初めてライブハウスのステージに立ったときと、寝る間を惜しんで準備したプレゼン本番ぐらいだった。
入試前日だって、緊張はしなかった。
いつもどおり、英単語と世界史用語を覚え、あとは本を読みながら寝た。

けれど、今は緊張で本も読めない。
村上春樹が翻訳したレイモンド・カーヴァーの傑作選。
とても良い本だと思うし、今日の昼に買って、1時間ほど喫茶店にいる間に150ページほどスラスラと読めたし、楽しめた。

夜になって、明日が第一志望の最終面接というのを意識しだしてからはどうにもならない。
例年であれば、その企業は最終面接は意思確認程度で、落ちることはまずないということだが、今年はどうも様子が違う。
明日も篩にかけられてしまうかもしれない。

明日の予定を知らせる企業からのメールには、面接時間:2時間半、持ち物:筆記用具、腕時計とある。
意思確認に2時間半もかかるわけがないし、筆記用具と腕時計というのは制限時間つきで何かを書かせるということに他ならない。
それに、前回の面接時、人事担当者が「次の面接は弊社に入社していただくうえでの、重要なステップになりますので、そのつもりで臨んでください」と言っていた言葉を深読みしすぎてしまう。

「当たったところで、どうせ砕けるだろう」と思って受験した会社だけに、余計緊張するのだろうか。
思わず、昨日は「ロッキー」をレンタルして見てしまった。
・・・・・・ダメじゃないか、結局ロッキー負けるじゃないか。忘れていた。それに俺は生卵を飲み込めないし、冷凍肉を殴ったら骨が折れるだろう。

ここまできたら、神頼みと思ってこんなのを見て喜んでる俺に未来はあるんだろうか。
(真ん中の4点をしばらく見つめたあと、壁を見ながら、目をパチパチすべし)

内定がほしい。
おめでとうと人事に言われたい。
せっかくあの出版社なので「だが、断る!」と言ってみたい気もするが、相手が元ネタを知らなかったら、ただの内定辞退なのでできない。
(いや、落とされたら「なにをするだァーーー!!!」とは全力で言えるが)

なにか、テンションを上げる本はないか、と書架を漁り、出てきたのは北方謙三先生の「試みの地平線」。
漢、北方先生ならば、なにか心に染み入る痛烈な鼓舞の文句を与えてくれるはず、と思い一気呵成に斜め読みしてみる。
読者からの質問に、氏がずばっと回答していく傑作だと思うが、改めて読み返すと質問は「初体験をスムーズにすませる方法は?」とか、「女のあそこがきもちわるい」とか、「ぼくのナニはヘンな形をしています」とか、実にどうでもいいものばかり。
先生は一つ一つ、愛を込めて「ソープに行け!」とか、「10年はかかるから待て」とか「それは武器だ!」と回答しておられるが、何一つとして参考になるようなものはなく、みるみるうちに地平線が遠ざかっていくような気がする。

結局は、初志貫徹、「当たって砕けろ」を実践するほかないわけで、そうしてくる。
夕方ラウンジに帰ってくる俺の顔が曇っていたら、優しくしてくれ。

というわけで、行ってきます。
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by sargent_d | 2006-04-25 23:08
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